【リハビリコラム】セーフティマネジメント

いきなりですが、
この写真はどちらの塔がより傾いて見えますか?

多くの方が、右の方が傾いて見えると思います。

でもこの写真、実は両方とも同じ写真です。
同じ写真であっても、横に並べることで
なぜか右の方が傾いて見えてしまうようです。

これはいわゆる“目の錯覚”というものですが、
医療現場や介護現場ではこの錯覚が事故につながり、
患者や利用者にとって致命傷となってしまう場合もあります。

今回はこうした医療事故や介護事故を防ぐために、
高齢者のリハビリや介護を行う上でも
大切にしなければいけない概念である
“セーフティマネジメント”について
考えてみたいと思います。

『To err is human. 』という言葉があります。
これは日本語では
『だれにも過ちはあるもの。』
という意味です。

高齢者のケアを行う上で、
“間違いない。”
“絶対~~である。”
というように考えてはいけないとよくいわれます。

車の運転でも“だろう運転”より、
“かもしれない運転”が大切であるといわれるのと同様で、
人間は思い込みや勘違いなど、
“過ちは常に存在するかもしれない”
という考え方が高齢者のケアには重要になってきます。

さて、セーフティマネジメント分野では、
施設や病院でケアをしていく上で
バランスを保つべきものが2つあります。

それは活動性と安全性です。

活動性が低いと高齢者は廃用が進んでいき、
基本動作が困難となり寝たきりになってしまったりします。
その一方、安全性が低いと
高齢者は日常生活で転倒したりして
ケガをする確率が高くなってしまいます。

ですので、両者のバランスを保ちながら
ケアをしていくことが大切になります。
そのためにもセーフティマネジメントが必要になります。

安全な介護を提供する上で大切なことの1つに、
セーフティマネジメントがあり、
これを全うすることは我々の使命でもあると考えております。

そのためにはどのようなことに
気をつけなければいけないのでしょうか。

最近、テレビや報道では介護事故や医療訴訟など、
一昔前に比べて当たり前のように目にする機会が
多くなってきたように感じられます。

医療・介護現場には危機管理として、
様々なことを管理していかなくてはいけないという
現状があります。

セーフティマネジメントの話をするときに
必ず出てくるのが“ハインリッヒの法則”という
ピラミッド型の図です。

これは、1つの事故が起こった場合には、
過去に300件のヒヤリハットが起きているということを
図に表したものです。

もう1つ有名なのが“スイスチーズモデル”です。

幾重もの対策をしているにもかかわらず、その隙間をぬって
アクシデントは発生してしまうということを
表したモデルです。

お仕事をされている方等は、
職場等で経験があるとは思いますが、
いつもとは違う状況に陥った場合や、
偶然が繰り返されたときに
アクシデントが発生してしまったという経験を
お持ちになっている方も多いかと思います。

セーフティマネジメントを考える上で
大切なのが“PDCAサイクル”です。

このサイクルを
何度も見直すことが大切であるといわれています。

特に大切なのが
“Check確認”と“Act=Action処置(改善)”の部分です。
的確な評価による確認作業で
有効な改善策を施さないと
また同じような事故が繰り返されます。

事故を評価していくときに大切なのは、
責任指向ではなく原因指向として考えることです。
誰がしたのかを処罰することで一件落着という、
いわば遠山の金さん風の解決方法はお薦めできません。
なぜ起こってしまったのか、どうすればよかったのか、
対策は何か…等を考えることが大切です。

責任者探しを始めると間違った方向に進む…といわれます。

断じて事故を起こした当事者を罰するための対策には
ならないようにすることが大切です。

次回はより具体的なお話をしていきたいと思います。

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