【三保】特養施設でのリハビリ奮闘記

しょうじゅの里三保は特別養護老人ホームです。

特別養護老人ホームは、入居者様にとっては
ご自宅と同じ、『生活の場』である為、
少しでも自分でできることを長く続けていけるように
ご本人様やご家族様の意向を伺いながら
『生活リハビリ』という機能訓練を行っています。

今回のブログでは、当法人の統括リハビリテーション担当である鳥澤先生に、
当施設でのある入居者様との『歩行訓練』の風景と一緒に
『“歩く”という“やりがい”を特養で“いきがい”として感じる』
というテーマで、素敵な記事をいただきました。
鳥澤先生

「もし、あなたが『明日から歩けなくなります。』とか、
『歩くことはもうできなくなります。』と言われたら、
どう感じますか?

しょうじゅの里三保のような特養を筆頭に、
各福祉施設には年齢や疾患により、
歩行機能が衰えている方が多くいらっしゃると思います。

病院や老健施設では病状が回復期に値する人が多く、
リハビリ専門職であるPT(理学療法士)や
OT(作業療法士)等も配置されていますので、
比較的歩行練習を積極的に取り入れる環境にあるかと思います。
杖歩行練習

しかし、特養や有料老人ホーム等、
維持期に値する人が多く入居している施設はいかがでしょうか。

ひと昔前と違い、現在、世の中には
PTやOT、ST(言語聴覚士)というリハビリ専門職が多くなりましたが、
まだまだ維持期の施設には十分配置されていないのが現状です。

当施設におきましても、
180名の入居者様(※特養/170名 短期/10名)がいらっしゃいますが、
PTが1名、OTが1名、計2名の人員配置となっております。

様々なリハビリニード(必要性)がある中、
当然歩行のニードもあります。
杖歩行練習

この記事中に掲載されている写真の方は
当施設に入居されている方で、
年齢は60歳代と比較的若く、
普段は車いすを自操して生活を自立されている方です。
しかし、施設の中は平均年齢が80歳以上の高齢者が多く、
年齢的な背景からも身体精神機能的にも、
なんとなく会話ができないため、
普段は好きな音楽を部屋で聞いたり、
昔の映画をDVDで見たりすることが多くなり、
自然と居室に引きこもる暮らしになっておられました。

昨年11月に私が当施設に赴任して、リハビリ業務にあたったところ、
この方のベッド脇にプラスチック製の装具が
ホコリをかぶって放置されていたことがまず気になりました。

本人に確認してみると、病院にいたころに使っており、
当施設に来てからはしばらく使ってないとのことでした。
せっかく作った自立支援のための装具が、
ホコリをかぶって置いてあるという悲しい現状でした。

なぜこのような状態にあったのか?
それは当施設に当時この入居者に歩いていただくまでの
技術をもった職員がいなかったことが原因でした。

そこで私はまず、身体機能評価を行い、
立つことは手すり等を把持すれば可能であったことや、
バランス機能、筋出力などを総合的に評価したところ、
おそらく将来的には杖歩行ができるレベルになるのでは…
という見解をもちました。
杖歩行練習

その時から、介助下での歩行練習ができるようになることを
まずは目標にしてリハビリに取り組みました。
個別リハビリ 軽体操

当施設は先述したとおり、180名の入居者に対し、
2名のセラピストで対応しているため、
当然個別のリハビリは週に1回程度の頻度となってしまいます。

そこで活きたのが、“生活リハビリ”というケアメソッドです。
個別機能訓練計画書を下に、入居者の生活を通じて、
個別ケアによる自立支援を
介護スタッフや看護師等の多職種でおこないました。

その中で本人に自主トレーニングを行ってもらうことにしました。
そのメニューは次の4つです。

  • ① 装具をつけること。
  • ② 車いすに深く座ること。
  • ③ おじぎをすること。
  • ④ 手すりを使用して立つこと。

以上、たったこれだけのことをお願いしました。
ユニットの介護スタッフには、
この自主トレを時々促すようにお願いしました。
自主トレ指導風景

この体制を持続した結果、3か月から半年の期間で
写真のように杖歩行が可能になりました。
杖歩行練習

身体機能が良くなったことは言うまでもありませんが、
同時に居室にいる時間は短くなり、
性格も明るくなり、
人に話しかける頻度も増し、表情も良くなりました。
歩行練習中休憩時に…

この経験により、“歩く”という“やりがい”を
特養という生活の場で“いきがい”として感じ、
よりいきいきと輝いた暮らしを今も送り続けておられます。

何度もいいますが、個別リハビリは週にたった1回程度です。
自主トレは上記の4点のみです。

しょうじゅの里三保では、『自立支援』の観点から、
これからもその方の意欲を引き出す工夫をスタッフ間で話し合い
イキイキとした生活を過ごしていただけるよう
様々な努力を重ねていきたいと思います。」

鳥澤先生、素敵な記事をありがとうございました。

【機能訓練】全国大会での演題発表

10月14日(金)、名古屋市公会堂において
『一般社団法人全国ノーリフティング推進協会 第3回全国大会』があり、
当法人グループである兼愛会の統括リハビリテーション担当 鳥澤が
演題発表をおこないました。
01.統括リハビリテーション担当 鳥澤

一般社団法人全国ノーリフティング推進協会は、
『介護業界が労働者にとって魅力があり、
年齢・性別に関係なく、使命感や奉仕の精神が報われ、
介護のプロとしての社会的認知度・地位もアップし、
健康な状態で一生の仕事として続けられる業界とするべく、
その共通の考え方として『ノーリフティング・ポリシー』を掲げ、
全国の法人・事業所が情報を共有しながら多くの問題を解決・改善していくため』
に設立されました。
『一般社団法人全国ノーリフティング推進協会』HPより)
02.大会会場
03.一般社団法人 全国ノーリフティング推進協会 代表理事 杢野暉尚氏

『ノーリフティング・ポリシー』とは、
介護士・看護師の負担を減らし、働きやすい環境を作ることにより
ケアの質を高めてご利用者様へのサービス向上につなげていく、ということで、
1998年にオーストラリア看護連盟ビクトリア支部から出された方針です。

その内容は、

  • 押す
  • 引く
  • 持ち上げる
  • ねじる
  • 運ぶ

を(過度な負担を伴う状態で)絶対に人力で行わないことを言います。

今回の全国大会では、
この『ノーリフティング・ポリシー』を提唱したオーストラリアからも
理学療法士であるリサ・ハーマン氏を講師としてお招きし、
『抱え上げ・ノーリフトポリシーについての取り組み』の
講習を受けることができました。
04.リサ・ハーマン氏の講演

鳥澤統括リハビリも、堂々たる姿で登壇。
05.演題発表の様子

発表する演題のタイトルは
『特養にて長期療養中に歩行困難となり
膝関節への免荷目的でスライディングボードを導入した一症例
~TKA術後右膝への荷重制限が発生した場合の移乗介助~』です。
06.発表テーマ

これは、当法人グループが運営している特別養護老人ホームの
あるユニットのご入居者様にスライディングボードを導入し、
その際の過程や課題についての発表でした。
07.見ごたえあるスライドと一緒に

スタッフの力強いサポートだけでなく、ご入居者様やご家族様の深いご理解をいただき
とても素晴らしい内容の発表をすることができました。

こちらは、発表に使ったスライドの一部です。
08.スライドの内容①
09.スライドの内容②
10.スライドの内容③

鳥澤統括リハビリからは
「この学会に参加し、他法人のノーリフト導入に関する事例や
導入方法等を学ぶことができました。
当法人としても“ノーリフティングポリシー”を参考にして、
より安全で効率的な支援ができるよう随時検討していく予定です」
とのコメントをいただきました。

また、この大会には研修生として、
しょうじゅの里三保の石川機能訓練指導員も参加しました。

石川機能訓練指導員からは
「今回の大会に出席させていただき、業務遂行上、大変有意義なものであり
兼愛会でノーリフト関連の福祉用具の活用を検討していき
介護職員のスキルアップと共に、
効率的な介護体制を構築していきたいと思いました」
との感想をいただきました。

この研修会では、最後に厚生労働省老健局高齢者支援課の佐藤守孝課長による
地域包括ケアの構築に向けての取り組みや
介護ロボット開発支援、介護人材確保対策などについての講演がありました。

日本での「ノーリフト」という介護方法は、まだ馴染みがないかもしれません。
しかし、オーストラリアなどの諸外国が持つ事例を通して
日本らしいノーリフトの取り組みを作り上げていけば
きっと近い将来、『介護をする側とされる側』にとって
どちらにも負担の少ない、嬉しいケアスタイルが確率することに
つながるのではないかと思うのです。

当法人グループでの取り組みが、その一助となることを願っております。

【リハビリコラム】その方にあった福祉用具でQOLの向上を!

高齢者が自立した生活を送る上で、
福祉用具が必要になる場合があります。

最近では様々な種類の福祉用具が普及しており、
どれを選んでよいか迷うことも多いと思います。
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不適切な福祉用具の使用は、
かえって身体機能が低下する危険性もあります。
したがって、専門家に相談しながら
適切な福祉用具を選択することが重要となります。

介護保険施設と在宅との最大の違いは、
介護保険の福祉用具貸与サービスの適応があるかないかです。
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在宅では、このサービスを利用し
車いすや歩行器などが比較的安価で貸与できます。
しかし、介護保険施設では
基本的に施設が用意したものを利用することになっており、
入居者全員に最適な福祉用具を用意することは難しく、
入居者の身体機能に合致した福祉用具を使うためには、
実費購入も視野に入れなければならず、
慎重な対応が求められます。

介護保険施設では身体機能を維持するために、
自立支援の考え方の下、
半年から数年先の状況まで考慮し選択することが大切であり、
そのために医療情報だけでなく
社会的情報もふまえ福祉用具の導入を検討することが重要です。
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例えば杖1本でもその種類、長さ、太さ、使用方法、使う頻度等によって、
入居者の歩容は変化し、長期利用でADLやQOLに大きな影響を与えます。

また、最近は福祉用具を間違った使用方法で
介護を推奨する動画がインターネットで配信されていることがあります。
福祉用具は使用方法を誤ると大きな事故につながる可能性もありますので、
使用の際はくれぐれもご注意ください。
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介護事故から身を守るためにも、
取扱い説明書の用法を守って使用することが大切です。

【リハビリコラム】特養のリハビリは誰のお仕事でしょうか?

今回のリハビリコラムは、ご家族様向けというより、介護施設、
特に『特養』と呼ばれる特別養護老人ホームで働く方々向けに
書いてみたいと思います。

皆様の施設では、個別機能訓練加算は算定しているでしょうか?
もし、算定しているのであれば、
特養においてリハビリのお仕事は誰が実施されていますか?

リハビリスタッフですか?
介護スタッフですか?
それとも…?
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特養における個別機能訓練加算の算定要件は、
『常勤・専従の理学療法士等を1名以上配置し、
都道府県知事に届け出た施設において、
利用者ごとに個別機能訓練計画を作成し、
計画的に機能訓練を行っている場合』
と定められており、
同計画書は多職種共同で作成することになっています。
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国が定めた基準である入居者100人につき、
機能訓練指導員1名では、
満足した個別リハの提供は難しいという現状があります。

では、どうすればいいのでしょうか?

打開策の一つとしては、
介護関連スタッフ全員で取り組むことが挙げられます。

様々な考え方がありますが、
“生活リハビリ”という概念で捉えるならば、
多職種連携でつくられたオリジナリティの高い計画書に沿って、
介護スタッフが歩行や排泄の介助をする際、
身体機能を引き出すような支援をすれば、
それは十分リハに相当すると考えられます。

施設での暮らしすべてが“生活リハビリ”として考えるなら、
特養におけるリハは、
機能訓練指導員が業務独占するものではなく、
スキルをもって対応すれば、
介護スタッフでも大きな効果をもたらすといえます。
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特養では『リハ=生活』という考え方が浸透してきましたが、
病気を治すために頑張るという『リハ=機能訓練』として理解されている方も
依然多いと感じます。
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お食事やお薬と同じで、
入居者が充実した暮らしを送るためにリハは必要不可欠であり、
入居者の特長を捉え根拠のあるケアを導入することが重要です。

例えば居室の生活環境設定、福祉用具の活用、
ポジショニング、シーティング等もリハの一環であり、
徹底すれば大きな効果をもたらします。
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特養におけるリハビリの取り組み例として、
社会福祉法人兼愛会で過去に取り組んだリハビリ体制をご紹介します。
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『生活リハビリテーション促進委員会』という名前の委員会を創設し、
各ユニットからリハビリに関心の高い職員を立候補で選抜しました。
そして、月に1回リハビリについての研修会を開催し、
介護現場で課題になっていることを検討しました。

その結果、介護スタッフの
モチベーションアップや意識改善につながりました。
リハビリを学ぶことで新たな視点で
入居者のケアを捉えることができるようにもなりました。
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ちなみに下の画像に写る介助者は
理学療法士ではなく、介護スタッフです。
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特養で言語聴覚士の介入は、
誤嚥性肺炎や感染症の予防、
コミュニケーション能力の向上等に大変有効です。
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このようにリハビリスタッフが行う機能訓練に終止せず、
ケアスタッフ全員でリハビリ体制をつくり上げることが大切です。
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そして、QOLが向上するようなケアを心がけることで入居者が元気になり、
施設に笑顔が溢れるような環境が今求められています。

【リハビリコラム】腰痛を『なくす』方法は…?

「腰痛」とは疾患(病気)の名前ではなく、
腰部を主とした痛みやはりなどの不快感といった症状の総称です。
一般に座骨神経痛を代表とする
下肢(脚)の痛みやしびれを伴う場合も含みます。
腰痛は誰もが経験しうる痛みです。
1

人間は進化の過程で二足歩行になったため、
腰痛は避けられない病いの一つとなっています。
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漢字の構成をみても腰は『肉月』に『要』と書き、
昔から重要な部分であると理解されていたことが解ります。
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日本人の約八割が腰痛を経験するといわれているため、
『なくす』のではなく、『予防する』ことが大切です。
したがって罹患しても
症状や身体への影響を最小限に停めることが重要です。
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腰痛の要因として、
動作要因、環境要因、個人的要因、心理的要因があげられます。
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介護業界では腰痛は離職の原因疾患であり、
厚労省も腰痛対策に以前から力を入れています。
その一環として、ノーリフティングポリシーという概念も広まっており、
リフトやスライディングボード等の福祉機器も多用されるようになりました。
腰痛を予防するためには労働衛生管理体制の確立や環境整備など、
多くの事業所において様々な取り組みがなされています。
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よく、痛みをコントロールするために、
コルセットや腰痛ベルトを使っている人がいますが、
コルセットはなぜ腰痛を止められるのでしょうか?
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脊柱は約30個の椎骨という骨の積み木を重ねるような構造になっており、
その周囲を筋肉や靭帯、関節包などで囲み、安定するように構築されています。
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そこには痛みを感じる神経があり、
各種疾患や高齢化などによりおこる変性で、その構造体が崩れ、
痛みの神経に何らかの影響を与えると痛みが生じます。
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また、この構造を安定化させる仕組みとして、
『フットボール理論』という考え方があります。
丸いゴムボールを横から圧迫すると、
空気圧によってボールはフットボールのように縦に伸びます。
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このボールがお腹に入っているとしましょう。
腹筋や背筋を働かせ腹圧を高めると、
お腹の中のボールがフットボールのようになり、上下に伸びる力となり、
脊椎の構造体を安定化させ、痛みを和らげる働きをきたします。
この時の腹筋や背筋の代わりが、コルセットや腰痛ベルトになります。
したがって、長い間コルセットや腰痛ベルトを使いすぎると、
腹筋や背筋の低下をまねき、
アライメント(骨や関節の位置関係)不良を起こす可能性があるため、
長期の利用はあまりお勧めできません。
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補足として、東洋医学からみたアドバイスもお伝えしておきます。
腰痛の“ツボ”として有名なのが、『腎兪(じんゆ)』です。
痛いときには押してみると痛みが軽減する傾向があります。
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リハビリ的視点から申しますと、
やはり大切なのは普段から動きやすいカラダをつくっておくことです。
具体的には就業前のストレッチや軽体操がおすすめです。
また体重が重いと腰への負担になるため、
標準体重を維持することが理想です。
局所的な対策としては、
股関節や下部体幹の柔軟性向上かつ筋力強化などがポイントとなります。
さらに、身体の使い方を工夫したり、
介助する場合は、被介助者の能力を
最大限に引き出す方法を習得したりすることも大切です。
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今一度、安全かつ安心な毎日を送れるよう、
それぞれの腰痛対策を見直してみてはいかがでしょうか。

【リハビリコラム】移乗介助について~“心地よい介助” していますか?

移乗介助は
『自信がない。』『苦手。』『腰痛で不安。』という声は
少なくありません。
そのため、移乗にまつわる技術革新は進み、
様々な介助方法も考案されています。
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また、“ノーリフティングポリシー”を主軸とした
“持ち上げない介護”も盛んに取り入れられています。

ADLやQOLを維持するためには、移乗介助は必須であり、
介護スキルの向上とともに、
安全かつ効率的に業務を推進する必要性が今求められています。
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では、移乗介助をどのように提供したら、
“心地よい”介助になるのでしょうか。

一つの方法としては、
移乗動作を“生活リハビリの好機”として捉えるということです。
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過介助は利用者の“できる力”を奪い、
介助者の腰痛等の労働災害リスクを招くことに繋がります。
しかし、単に利用者ができることを自分でしてもらい、
介助量を最小限にすることだけが生活リハビリではありません。
利用者の体調や気分はその時々で違い、身体能力にも個人差があります。
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最も大切なのは、
各利用者の能力や気持ちをしっかりと把握し、
自立できる環境を整え、
TPOに配慮しながら必要な介助量を提供することです。
そうすることで自然に利用者のモチベーションは高まり、
“心地よい介助”につながっていきます。
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被介助者(利用者)にとっては“自立支援”、
介助者にとっては“介助負担軽減”というような
相互作用が発生するようになると、
移乗介助が両者にとって“有益”となります。
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すべての利用者様は介護する方を頼りにし、
自分の気持ちを分かってほしいと願っています。

今一度利用者様の“こころ”の介助を意識し、
その人の“支え”となれるような介護を心がけてみてはいかがでしょうか。

【リハビリコラム】摂食・嚥下について

燕(ツバメ)は英語で“swallow”といいますが、
実は嚥下の英訳でもあります。
また、嚥下は日本語でも“燕”という字が盛り込まれています。
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したがって、嚥下という言葉は、
燕(ツバメ)が餌を食べる姿に由来しているといわれています。

摂食・嚥下は、食物を認知することから始まり、
それを口腔内に取り込み、
咽頭、食道を通り、胃に至るまでの過程をさします。
また、その過程は
先行期、準備期、口腔期、咽頭期、食道期の
5期に分類されます。
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摂食・嚥下障害とは、ものを食べることの障害であり、
食物の認識ができなくなったり
咀嚼や嚥下ができなくなったりすることにより、
口から食べられなくなることです。

この障害により、嚥下の過程に支障をきたし、
誤って食物が気道に入り込むことを誤嚥といいます。
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ここで問題です。
誤嚥は左右どちらの肺に起こりやすいでしょうか?
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正解は“右”です。
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気管支の構造上、
解剖学的に右肺に食残が混入する確立が高いといわれています。
高齢者にとって誤嚥は肺炎の危険因子であり、
予防のためには普段から口腔ケアや食事環境の整備等が必要です。

高齢者の摂食・嚥下機能は改善するというよりも、
適切な環境設定で食べられるようになるといわれています。
施設内で摂食・嚥下が困難なことが
生活の課題になっている入居者様は多く、
その原因を総合的に検証することが大切です。

その際、様々な点に目を向ける必要があります。
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また、これらに加え食事以外の過ごし方に
目を向けることも大切です。

活動的な暮らしを送れば、自然にお腹も減るはずですので、
普段から活気のある生活支援に心がけましょう。

例えば、食事姿勢も重要な評価ポイントです。
食事姿勢はその人によって、
いかに『食べやすい姿勢』であるかが大切です。
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摂食・嚥下を安定させるためには、
ポジショニングやシーティングを適切に実施することも大切です。
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また、嚥下困難な高齢者に対しては、
“口腔の傾き”を意識することが大切です。

嚥下をスムーズに行うためには、
舌で食物を送り込む能力が必要となります。
したがって、送り込む能力が衰えた高齢者に関しては
“口腔の傾き”を意識し、
車いすのリクライニングやチルトの傾きを調整すると
嚥下機能が向上する場合があります。
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人間にとって“食べること”は
人生最大の“喜び”であることは皆様もご存知の通り。
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したがって、食事をサポートしていくことがQOLの向上に直結します。

食べないからといって安易に食形態を変えるより、
まずは個別ケアとして、
『食生活』の面で、暮らしをもう一度見直してみてはいかがでしょうか。

【リハビリコラム】手引き歩行は“寝たきり”を引き起こす?

生活リハビリテーション(以下生活リハ)とは、
利用者のできることを把握し、その能力に応じて適切な支援を提供し、
日常生活を通じて機能を回復させるというケア方法です。

要するに日常生活全般をリハと捉えた活動です。
その根底には自立支援の概念があり、
利用者の能力に対し適切な介護技術、福祉用具、心的なケア等を施すことにより、
ADLやQOLの維持・向上に繋げます。
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例えば、脚力が極度に低下した利用者に歩行支援を行う場合に、
手引き歩行をする場面を想定してください。

手を引っ張ることにより、相反して利用者の重心は後方へ移動する傾向にあり、
起立がより困難になり、延いては“寝たきり”のきっかけになりえます。
また、急な膝折れ等の危険回避も難しく、
前方の視界も遮るため不安が生じたり、
目的をもった自立歩行に繋がらなかったりするデメリットもあり、
安全管理や自立支援の側面からも支援方法を検討する必要があります。

歩行は人生において最も多く使う動作の一つであり、
様々な目的を果たすための大切な手段であり、
支援方法が利用者の人生に大きな影響を与えます。
そのため、TPOを鑑み、このような場合は側方介助や手すり歩行等を含め、
適切な歩行補助具の活用も選択肢として総合的に支援方法を検討することが大切です。

介護現場では、適切な自立支援方法を選択した上で、
生活リハを推進することが今求められています。
利用者の人生がより輝くように、暮らしに“リハのエッセンス”を加えてみてはいかがでしょうか。
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生活リハビリのすゝめ

在宅生活を有意義に送るために、“生活リハビリのヒント”です。
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スマートホンには様々な“健康アプリ”が利用できます。
ガラケーをお使いの方は、機種変更してみてはいかが?
隙間時間等にも気楽に活用できますよ。
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ここで問題です。お買い物で会計が1,739円。財布の中には2,294円ありました。
あなたならいくら出しますか?
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正解としては、全額2,294円出すことをオススメします。
瞬時に計算をすればお釣りは555円です。
頭の体操を行いつつ、財布の中味もスッキリします。
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認知症予防のためにお支払いの際は500円玉をもらえるよう計算しましょう。
そして500円玉を貯金すればお金もたまります…!

カラダにも経済的にもためになる“生活リハビリ”でした。

【リハビリコラム】病気が治らなくても暮らしが良くなる方法

リハビリは『痛い。辛い。苦しい。』というイメージをもつ人が多いかと思います。
しかし、高齢者のリハビリではこのようなネガティブなイメージでは長続きしません。
リハ1604-1
リハ1604-2

リハビリの期間は急性期、回復期、維持期に分類できます。
例えば脳卒中であれば、発症から数週間を急性期、
半年から1年を回復期、
それ以降の非常に長い期間が維持期(別名生活期、介護期)にあたります。

最近では終末期リハビリという言葉も出てきました。
高齢者のリハビリはまさにこの維持期や終末期にあたります。
リハ1604-3

維持期や終末期は病気が治りにくい期間でもあり、
高齢者は複数の慢性疾患を抱えていることが多いため、
症状も悪化させる傾向があり、
医学の進歩によっても解決できないことが多いという期間でもあります。

従って、モチベーションをいかに持続するかということが課題となります。

このような背景から、リハビリ自体が“苦痛なもの”になると当然長続きできず、
意欲低下に繋がってしまいます。
ゆえに高齢者のリハビリは、いかに“やりがい”をもちながら、
楽しんでできるかが有意義な生活を送るための“鍵”になります。

高齢者のリハビリではADL(日常生活活動)を高め、
家庭や社会への参加を促し、
それによって一人ひとりの生きがいや自己実現のための取組を支援し、
QOL(生活の質)の向上を目指すことが大切であると考えられています。

厚労省は、生活機能の低下した高齢者に対して
「心身機能」「活動」「参加」の各要素にバランスよく働きかけることが重要だと提言しています。

施設でのリハビリが、単なる体操や慢性的な機能訓練の繰り返しに留まっていませんか。
リハ1604-5
リハ1604-4

高齢者のリハビリは、その内容が生活に結びつき、自立支援となっていることが大切です。
そのためには、対象者の能力をしっかりと把握し、
各職員が連携をもち、高齢者一人ひとりの“気持ち”を受けとめ、
多角的に考察した上“ニード”として自立支援主体の個別ケアに繋げることが今求められています。
リハ1604-6

それぞれの施設で“病気が治らなくても暮らしが良くなる方法”を見つけ、
『痛い。辛い。苦しい。』を『うれしい!たのしい!きもちいい!』になるよう、
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今一度、リハビリのスタイルを見直してみるのも良いかもしれません。