【三保】特養施設でのリハビリ奮闘記

しょうじゅの里三保は特別養護老人ホームです。

特別養護老人ホームは、入居者様にとっては
ご自宅と同じ、『生活の場』である為、
少しでも自分でできることを長く続けていけるように
ご本人様やご家族様の意向を伺いながら
『生活リハビリ』という機能訓練を行っています。

今回のブログでは、当法人の統括リハビリテーション担当であり、
毎月17日に掲載される『リハビリコラム』の執筆者である鳥澤先生に、
当施設でのある入居者様との『歩行訓練』の風景と一緒に
『“歩く”という“やりがい”を特養で“いきがい”として感じる』
というテーマで、素敵な記事をいただきました。
鳥澤先生

「もし、あなたが『明日から歩けなくなります。』とか、
『歩くことはもうできなくなります。』と言われたら、
どう感じますか?

しょうじゅの里三保のような特養を筆頭に、
各福祉施設には年齢や疾患により、
歩行機能が衰えている方が多くいらっしゃると思います。

病院や老健施設では病状が回復期に値する人が多く、
リハビリ専門職であるPT(理学療法士)や
OT(作業療法士)等も配置されていますので、
比較的歩行練習を積極的に取り入れる環境にあるかと思います。
杖歩行練習

しかし、特養や有料老人ホーム等、
維持期に値する人が多く入居している施設はいかがでしょうか。

ひと昔前と違い、現在、世の中には
PTやOT、ST(言語聴覚士)というリハビリ専門職が多くなりましたが、
まだまだ維持期の施設には十分配置されていないのが現状です。

当施設におきましても、
180名の入居者様(※特養/170名 短期/10名)がいらっしゃいますが、
PTが1名、OTが1名、計2名の人員配置となっております。

様々なリハビリニード(必要性)がある中、
当然歩行のニードもあります。
杖歩行練習

この記事中に掲載されている写真の方は
当施設に入居されている方で、
年齢は60歳代と比較的若く、
普段は車いすを自操して生活を自立されている方です。
しかし、施設の中は平均年齢が80歳以上の高齢者が多く、
年齢的な背景からも身体精神機能的にも、
なんとなく会話ができないため、
普段は好きな音楽を部屋で聞いたり、
昔の映画をDVDで見たりすることが多くなり、
自然と居室に引きこもる暮らしになっておられました。

昨年11月に私が当施設に赴任して、リハビリ業務にあたったところ、
この方のベッド脇にプラスチック製の装具が
ホコリをかぶって放置されていたことがまず気になりました。

本人に確認してみると、病院にいたころに使っており、
当施設に来てからはしばらく使ってないとのことでした。
せっかく作った自立支援のための装具が、
ホコリをかぶって置いてあるという悲しい現状でした。

なぜこのような状態にあったのか?
それは当施設に当時この入居者に歩いていただくまでの
技術をもった職員がいなかったことが原因でした。

そこで私はまず、身体機能評価を行い、
立つことは手すり等を把持すれば可能であったことや、
バランス機能、筋出力などを総合的に評価したところ、
おそらく将来的には杖歩行ができるレベルになるのでは…
という見解をもちました。
杖歩行練習

その時から、介助下での歩行練習ができるようになることを
まずは目標にしてリハビリに取り組みました。
個別リハビリ 軽体操

当施設は先述したとおり、180名の入居者に対し、
2名のセラピストで対応しているため、
当然個別のリハビリは週に1回程度の頻度となってしまいます。

そこで活きたのが、“生活リハビリ”というケアメソッドです。
個別機能訓練計画書を下に、入居者の生活を通じて、
個別ケアによる自立支援を
介護スタッフや看護師等の多職種でおこないました。

その中で本人に自主トレーニングを行ってもらうことにしました。
そのメニューは次の4つです。

  • ① 装具をつけること。
  • ② 車いすに深く座ること。
  • ③ おじぎをすること。
  • ④ 手すりを使用して立つこと。

以上、たったこれだけのことをお願いしました。
ユニットの介護スタッフには、
この自主トレを時々促すようにお願いしました。
自主トレ指導風景

この体制を持続した結果、3か月から半年の期間で
写真のように杖歩行が可能になりました。
杖歩行練習

身体機能が良くなったことは言うまでもありませんが、
同時に居室にいる時間は短くなり、
性格も明るくなり、
人に話しかける頻度も増し、表情も良くなりました。
歩行練習中休憩時に…

この経験により、“歩く”という“やりがい”を
特養という生活の場で“いきがい”として感じ、
よりいきいきと輝いた暮らしを今も送り続けておられます。

何度もいいますが、個別リハビリは週にたった1回程度です。
自主トレは上記の4点のみです。

しょうじゅの里三保では、『自立支援』の観点から、
これからもその方の意欲を引き出す工夫をスタッフ間で話し合い
イキイキとした生活を過ごしていただけるよう
様々な努力を重ねていきたいと思います。」

鳥澤先生、素敵な記事をありがとうございました。

鳥澤先生の『リハビリブログ』の中には
特養施設における生活リハビリの取り組みについての記事も
多く掲載されています。
介護現場で働いている方々向けの記事もあり、
幅広い方々から好評をいただいております。

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是非併せてご一読ください。

Posted in リハビリ(機能訓練), 施設の取組み.